ユヴァル・ノア・ハラリ『NEXUS 情報の人類史』|現代社会の「なぜ?」がすべて繋がる一冊。 【書評】

歴史・地理
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🤯SNSの「正義」に疲れていませんか?一体何を信じればいいのか…その答えは人類史にあった

スマホを開けば流れてくる、扇動的な見出しのニュース。敵と味方を明確に分け、誰かの「正義」が誰かの「悪」を断罪するコメント欄。一体、何が真実で、何を信じればいいのか…?

そんな情報の大洪水の中で、いつの間にか自分の頭で考えることを放棄し、ただただ感情を揺さぶられて疲弊している。もしあなたが少しでもそう感じているなら、この本はまさに今、あなたが読むべき一冊かもしれません。

これは単なる歴史書ではありません。現代社会に渦巻く混乱と分断の”源流”を解き明かし、情報に溺れる私たちに「知的な浮き輪」を投げ与えてくれる、未来へのサバイバルガイドです。

🤔なぜ、あなたのタイムラインは「怒り」と「分断」で溢れているのか?

「正しい情報を集めれば、人は賢くなれるはずだ」――私たちはそう信じてきました。しかし、現実はどうでしょうか?インターネットとSNSの登場で、人類はかつてないほどの情報量を手にしましたが、社会はより賢くなるどころか、むしろ混乱を深めているように見えませんか?

本書『NEXUS 情報の人類史』は、その根本的な疑問に、人類数万年の歴史から答えを導き出します。あなたが日々感じているその違和感の正体、そしてなぜ情報が私たちを賢くするのではなく、時として愚かな群衆へと変えてしまうのか。そのメカニズムが、本書を読み終える頃にはっきりと見えているはずです。

📜【結論】人類は「真実」ではなく「信じたい物語」で動き、AIはその”物語”の作者になろうとしている

もしあなたが多忙で、本書の核心だけを知りたいのなら、この3行を覚えておいてください。

  • 情報の最大の力は「真実の伝達」ではなく、人々を繋げ、社会の「秩序」を創り出すことにある。
  • 人類は「虚構(物語)」を共有することで協力し、文明を築いてきた。だがその力は、魔女狩りや全体主義のような悲劇も生み出す諸刃の剣だった。
  • そして今、AIという「人間ではない知性」が、自ら”物語”を創り始めている。これは人類史における最大級の革命である。

🌐『サピエンス全史』の巨人が鳴らす警鐘に、「現代社会の霧が晴れた」と実践者からの声

著者は、全世界でベストセラーとなった『サピエンス全史』『ホモ・デウス』で知られる歴史学者、ユヴァルノアハラリ氏。彼の特徴は、複雑な人類史を「情報」という一本の串で貫き、現代に生きる私たちへの鋭い問いへと昇華させる、その圧倒的な知性にあります。

本書に対しても、すでに多くの読者から絶賛の声が寄せられています。

「情報という単語を目にした時に、自分自身が、その正確性のみを問うという自動思考を持っている事に気づかされた。情報とは…人間の秩序を維持するという目的もあるという点は、私にとって新しい視点だった。」

「トランプ現象が表すものが何なのか、わかっているようで、今一つ明確でない。…作者はバックグラウンドの深さと広さから、より削り出した見解を示していると思う。」

単なる知識のインプットで終わらない。本書は、明日からのニュースの見方、SNSとの付き合い方、そして未来への考え方そのものを変革する力を持っています。

📚NEXUSの思考の”原点”。未読なら『サピエンス全史』から

もしあなたが本書『NEXUS』で語られる「情報」や「虚構」の力に知的な興奮を覚えたなら、その思想の壮大な”原点”である『サピエンス全史』は必読書と言えるでしょう。『NEXUS』が「情報」という縦糸で人類史を貫くなら、『サピエンス全史』は、なぜ私たちホモ・サピエンスだけが、虚構(フィクション)を信じる力によって地球の支配者になれたのかという根本的な謎を、横糸として壮大に描き出します。

国家、宗教、貨幣――。これら全てが、私たちが共有する「物語」に過ぎないという衝撃的な視点。この記事で紹介した「物語の力」の源流をより深く、そして面白く理解したい方は、まずはこちらの解説記事からハラリの世界に足を踏み入れてみることを強くお勧めします。

💡【実践編】「情報の本質」を見抜き、「社会のバグ」に気づき、「AIとの未来」を描き直す、3つの知的武装

本書を読むことで、あなたは具体的に何を得られるのか。この記事では、特に重要だと感じた「3つの本質的な価値」を深掘りします。これらは、情報社会を生き抜くための強力な「知的武装」となるはずです。

【深掘り解説①】「真実」より「秩序」を優先する人間の”バグ”に気づく

私たちは「情報が多いほど、真実に近づける」と無意識に信じています。しかしハラリ氏は、歴史を紐解き、その考えが危険な幻想であることを暴きます。

その象徴的な例が「魔女狩り」です。15世紀に印刷技術が発明されたとき、人々は知識が広まり、世界がより賢くなると期待しました。しかし、印刷機が爆発的に広めたのは、科学書だけでなく、ある修道士が書いた『魔女への鉄槌』という荒唐無稽な本でもあったのです。この本がベストセラーになった結果、ヨーロッパ全土で何万人もの無実の人々が「魔女」として虐殺される悲劇が起きました。

「読んでまず感じたのは、『情報』というひとつのテーマから、これだけ広大な人類史を一気に見渡せるんだ、という意外性でした。…むしろ誤ったストーリーや虚構が、人々を強固につなぎ合わせて巨大な動きを生み出してきた――そこが本書の核心なんです。」

これは過去の話ではありません。現代のSNSで、真偽不明の情報が「怒り」や「憎悪」といった感情と共に拡散され、集団ヒステリーや誹謗中傷が生まれる構造と全く同じです。本書は、情報の本質が「真実の探求」よりも、人々を繋ぎ合わせる「秩序の維持」や「物語の共有」にあることを教えてくれます。この視点を持つだけで、なぜフェイクニュースがなくならないのか、なぜ人は陰謀論に惹かれるのか、その本質が見えてくるのです。

【深掘り解説②】なぜ独裁国家は脆く、民主主義はしぶといのか?――鍵は「自己修正メカニズム」

本書は、政治体制の違いを「情報の流れ」という斬新な切り口で解説します。

  • 全体主義(独裁):情報を中央に集約し、トップダウンで流す「ピラミッド型」ネットワーク。一見効率的に見えますが、一度指導者が間違えると、誰もそれを正せず破滅に向かいます。彼らは自らの「無謬性(間違いを犯さないこと)」を信じているからです。
  • 民主主義:情報が各地に分散し、自由に行き交う「ウェブ型」ネットワーク。非効率で混乱も多いですが、間違いが起きても互いに指摘し合い、軌道修正できる強さがあります。これは「人間は間違う(可謬性)」という前提に立っているからです。

科学が発展したのも、新たなテクノロジーが生まれたからだけではありません。学会などの「自己修正メカニズム」を持つ組織が、間違いを認め、正す文化を育んだからなのです。

「聖典の無謬性を主張する宗教も共産主義も根っ子は同じなのですね。情報ネットワークの発達が人類史にもたらした負の影響など、考えさせられる内容でした。」

現代のポピュリズムや分断の危機は、まさにこの「自己修正メカニズム」が攻撃されている状態だと言えます。この本を読むと、私たちがなぜ時間のかかる議論や面倒な手続きを経てでも、民主主義を守る価値があるのかを、心の底から理解できるようになります。

【深掘り解説③】AIはドラえもんじゃない。人類の理解を超えた「エイリアン知能」との向き合い方

本書の議論は、現代そして未来の最大のテーマである「AI」へと至ります。ハラリ氏は、AIをこれまでの情報技術(印刷、ラジオ、テレビ)の延長線上で考えてはならないと、強く警鐘を鳴らします。

なぜなら、AIは単なる「道具」ではなく、自ら情報を解釈し、判断し、新たな文化(物語や芸術)さえ創造する「行為主体」だからです。しかも、それは人間とは全く異なる論理で思考する、いわば「エイリアン知能(Alien Intelligence)」なのです。

「AIが情報を生み出し、人間を超越した存在になっていく──そんな未来に対する警鐘が鳴らされており、読後には『私たち個人に何ができるのか』を真剣に考えさせられました。」

Facebookのアルゴリズムが憎悪を煽り、ミャンマーでのロヒンギャ虐殺の一因となったように、人間の制御を超えたAIが「社会的大量破壊兵器」になり得ることを、著者は現実の事例と共に示します。「AIが仕事を奪う」といった次元の低い議論ではなく、人類の価値観や社会秩序そのものが、人間以外の知性によってどう作り変えられてしまうのか。本書は、その根源的な問いを私たちに突きつけます。これは、AI時代を生きる全ての人が思考すべき、最重要課題です。

⚠️『警告!』もしあなたが”絶対的な正解”を求めているなら、この本は危険かもしれない

ここで一つ、誠実な警告をさせてください。もしあなたが「どうすればいいか」という単純な答えや、すぐに使えるノウハウだけを求めてこの本を手に取るなら、おそらく期待外れに終わるでしょう。

ハラリ氏は、救世主のように未来を予言し、「こうすれば救われる」という安易な答えを与えてはくれません。むしろ彼は、私たちがいかに複雑で、不確実で、困難な問いに直面しているかを、容赦なく突きつけてきます。

この本は「思考停止」からあなたを救い出す本ですが、それは「新たな思考の苦しみ」の始まりでもあります。もしその”知的格闘”を避け、「誰かの言う正解」にすがりたいのであれば、あなたはただ、ハラリという新たな権威を盲信するだけの”新しい信者”になってしまう危険性があります。この本が与えてくれるのは「答え」ではなく、生涯にわたって「問い続けるための道標」なのです。

🚀さあ、世界の見方を変えよう。明日、ニュース記事を読む前に自分に投げかける「たった1つの質問」とは?

この記事を読んで、あなたの頭の中には新しい視点が生まれたはずです。しかし、大切なのは行動に変えること。難しいことではありません。今日、この記事を読み終えたあなたがすぐにできる、最初の一歩を提案します。

それは、明日からスマホでニュースを見たり、SNSの投稿を読んだりする前に、たった一つだけ自問することです。

「この情報は、私に”真実”を伝えようとしているのか?
それとも、私を誰かと繋げ、ある特定の”秩序”や”物語”に参加させようとしているのか?」

この問いを心の中で唱えるだけで、あなたは情報の発信者の意図を冷静に分析できるようになり、感情的に流されることが格段に減るはずです。それは、情報に支配される側から、情報を主体的に読み解く側へとシフトする、大きな一歩となるでしょう。

🎧【Audible】ハラリの知の冒険を、あなたの日常にインストールする

『NEXUS』のような壮大なスケールの本は、一度読んだだけですべてを消化するのは難しいかもしれません。本書で提示される思考のフレームワークは、何度も脳に刷り込むことで、初めて血肉となります。

そこでおすすめしたいのが、「聴く読書」、Audibleです。

「この本はAudibleで聞いて、さらに本で読むことがベストかと思われる。」
「通勤中でも、家事をしながらでも、知の冒険ができるなんて、本当にありがたい時代ですね。」

レビューにもあるように、本書の持つ思考法やマインドセットは、まるで偉大な歴史学者の集中講義をマンツーマンで受けているかのように、繰り返し聴くことで思考にインストールされます。

通勤中の電車の中、ジムでのトレーニング中、あるいは家事をしている時間。そんな「スキマ時間」が、人類数万年の歴史を旅し、未来を思索する壮大な「知の冒険」に変わります。

文字で読むのとは違う、耳から直接流れ込むハラリ氏の鋭い洞察は、あなたの日常に新しい視点をもたらし、情報社会への向き合い方を根本から変えてくれるはずです。

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