『マリアビートル』|なぜ「王子が胸糞悪いのに最高!」の声が続出するのか?

文学・評論
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マリアビートル (角川文庫)
「もう、普通の物語じゃ物足りない…」
日常に少しだけ退屈し、心を根こそぎ持っていかれるような、強烈なエンターテイメントを求めているあなたへ。もし、東京発・盛岡行きの東北新幹線が、予測不能な殺し屋たちの狂想曲の舞台になるとしたら…想像するだけで、少しだけ胸が躍りませんか?

伊坂幸太郎氏が描く『マリアビートル』は、まさにそんなあなたの渇望を満たすための一冊。読者からは「面白すぎて一気読み!」「胸糞悪いのに、爽快感が半端ない!」といった熱狂的な声が絶えません。この記事では、なぜこの物語がそれほどまでに人々を惹きつけるのか、その核心に迫ります。

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✅この記事で満たされる3つの体験

  • 殺し屋なのに愛おしい。忘れられないキャラクターたちに夢中になる体験。
  • 怒りとイライラの先に待つ、最高のカタルシス(爽快感)を味わう体験。
  • 巧みな伏線に翻弄され、物語の世界に完全に没入する体験。

🤔なぜ、読者はあの”最悪の中学生”に怒り狂い、そして最後に快哉を叫ぶのか?

『マリアビートル』のレビューを覗くと、必ずと言っていいほど目にする言葉があります。それは、登場人物の一人、「王子」に対する強烈な感情です。「イライラした」「胸糞悪い」「早く誰かこいつを…!」――。一人のキャラクターが、これほどまでに読者の心を掻き乱す小説は稀です。

しかし、不思議なことに、その怒りの声の隣には必ずと言っていいほど「でも最高に面白い」「最後はスカッとした」という絶賛の声が並んでいます。なぜ、強烈な不快感と最高のエンターテイメントが、この物語では奇跡的に両立するのでしょうか? その秘密こそが、『マリアビートル』がただの殺し屋小説で終わらない、傑作たる所以なのです。

🚄【ネタバレなし】東京発、盛岡行き。この新幹線、何かがおかしい

物語の舞台は、疾走する密室

物語は、東京駅を出発し、終点・盛岡を目指す東北新幹線「はやて」の車内だけでほぼ完結します。乗り合わせたのは、一見するとごく普通の乗客たち。しかし、その水面下では、複数のプロの殺し屋たちが、それぞれの目的のために動き出していました。

『酒浸りの元殺し屋「木村」。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」「檸檬」。運の悪い殺し屋「七尾」。物騒な奴らを乗せた新幹線は疾走する!』

息子の復讐を誓う男、裏社会の大物の息子とトランクを護衛するコンビ、そして「世界一ついていない」と嘆く殺し屋…。彼らの目的が交錯した時、新幹線は血と嘘とユーモアが渦巻く、予測不能なジェットコースターへと変貌します。

💬「王子にイライラ」「蜜柑と檸檬が好きすぎる」の声、続出。読了者たちの熱狂から紐解く本作の引力

この物語の凄みは、読了者たちの熱のこもった感想にこそ表れています。レビューには、キャラクターへの愛憎と、巧みなストーリーテリングへの賞賛が溢れています。

「王子にむちゃイライラした。二度と読みたくないかも。」

「物騒な人達なのにみんな個性的で面白い。何をやってもついていないマーフィーの法則を体現するかのような「天道虫」、機関車トーマス大好き「檸檬」、文学大好き「蜜柑」の果物コンビは会話もテンポ良くてコントみたいで好き。」

「巧妙に全ての話が最終的に繋がっていくところが伊坂節。みんなの活躍もう少し読みたかったな。」

このように、読者は強烈なキャラクターに感情を揺さぶられながら、やがて一つに収束していく物語の構造に感嘆しています。ただ「面白い」だけでは終わらない、登場人物たちと共に疾走するような読書体験が、ここにはあるのです。

🎬【微ネタバレ注意】「魅力的な殺し屋」「絶対悪へのカタルシス」「緻密な伏線」。この物語を傑作たらしめる3つの狂騒曲

ここからは、なぜ『マリアビートル』がこれほどまでに読者の心を掴むのか、その核心となる3つの魅力について、少しだけ深く掘り下げていきましょう。(物語の結末に関わる決定的なネタバレはありませんのでご安心ください)

登場人物たちの思惑が一目でわかる! キャラクター相関図

木村(元殺し屋)

目的:息子の復讐

王子(狡猾な中学生)

目的:大人を操り混乱を楽しむ

↑【復讐 vs 支配】↓

舞台:疾走する東北新幹線「はやて」

↑【トランクを巡る攻防】↓

七尾(天道虫)

目的:トランクの奪取

蜜柑&檸檬

目的:トランクと人物の護衛

これらの登場人物たちが、一台の新幹線の中で複雑に絡み合います!

【深掘り解説①】蜜柑、檸檬、七尾…なぜ我々は殺し屋たちを愛してしまうのか?

本作に登場するのは、裏社会に生きる「プロ」ばかり。しかし、彼らは決して冷酷なだけの存在ではありません。

  • 蜜柑と檸檬:文学を愛する冷静沈着な蜜柑と、『きかんしゃトーマス』を人生のバイブルとする純粋(?)な檸檬。この凸凹コンビが交わす軽妙でユーモラスな会話は、殺伐とした物語の中で最高の癒やしであり、多くの読者が「このコンビが大好き」と語る本作最大の魅力の一つです。
  • 七尾(天道虫):「僕はなんて運が悪いんだ…」が口癖の殺し屋。彼の行く先々で起こるトラブルは、もはやコメディの域。しかし、その「不運」こそが、物語を誰も予測できない方向へと転がしていく最大の鍵となります。彼のトホホな奮闘ぶりに、気づけばあなたも声援を送っているはずです。

伊坂幸太郎氏の真骨頂である、人間味あふれるキャラクター造形。殺し屋という非日常的な存在でありながら、彼らの会話や行動に共感し、いつしか感情移入してしまう。この絶妙なバランス感覚が、読者を物語の虜にするのです。

【深掘り解説②】”王子”という名の悪魔。彼の胸糞悪さが、最高のスパイスになる理由

そして、この物語を語る上で絶対に外せないのが、中学生「王子」の存在です。彼は、見た目は品行方正な少年。しかしその内面は、大人を手玉に取り、人の心を操ることに至上の喜びを感じる、まさに悪魔そのもの。

「大事なのは信じさせる側に自分が回ることなんだ」

彼の狡猾な言葉と行動は、読者に強烈なストレスと怒りを与えます。プロの殺し屋たちですら彼の術中にはまり、状況は絶望的に思えるかもしれません。しかし、この底知れない「悪」が存在するからこそ、物語の終盤で訪れる展開が、圧倒的なカタルシスを生むのです。

多くの読者が「王子がムカつく!」と叫びながらもページをめくる手が止まらなくなるのは、この強烈な感情の揺さぶりが、最高のエンターテイメント体験に直結しているからに他なりません。

【深掘り解説③】疾走する新幹線は伏線のジェットコースター!伊坂マジックの神髄

『マリアビートル』のもう一つの凄みは、その緻密に計算されたプロットにあります。何気ない会話、偶然の出来事、車内に転がるアイテム…そのすべてが、後の展開に繋がる伏線として巧妙に配置されています。

「運の悪い男、七尾のピタゴラスイッチ的展開で進む蜜柑檸檬との攻防戦も良い。」

バラバラに見えた点が線となり、やがて一つの壮大な絵を描き出す瞬間。読者は「まさか、あの時のあれがここに繋がるなんて!」という驚きと快感を何度も味わうことになります。特に、前作『グラスホッパー』を読んでいるファンには、思わずニヤリとしてしまう仕掛けも満載です。

この予測不能な展開と鮮やかな伏線回収こそが、読者を飽きさせず、最後まで一気に読ませる原動力となっているのです。

🎧この狂騒曲を、耳から浴びる体験へ

もし、今あなたが想像した蜜柑と檸檬の軽快な掛け合いや、七尾の情けない悲鳴、そして王子の人を食ったような声を、実際にオーディブルで「聴く」ことができるとしたら…物語の没入感は、さらに何倍にも膨れ上がると思いませんか?


『マリアビートル』という名のジェットコースターに、最前列で乗り込む

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🛡️この物語は、あなたの理不尽な日常を乗りこなす「最強の盾」になる

『マリアビートル』は、ただのエンターテイメント小説ではありません。物語の中で、王子は問いかけます。「どうして人を殺してはいけないの?」。この根源的な問いに対し、登場人物たちはそれぞれの立場で答えようとします。

私たちは日々、大小さまざまな理不尽に直面します。狡猾な「王子」のような存在に心をかき乱され、運の悪い「七尾」のように「どうして自分ばかり…」と嘆きたくなる日もあるでしょう。

しかし、この物語は教えてくれます。絶望的な状況でも、ユーモアを忘れず、ささやかな絆を信じ、そして時には思いがけない「不運」が道を拓くこともあるのだと。彼らの生き様は、ままならない現実を生き抜くための、ユニークで力強い「盾」となってくれるはずです。

😌理不尽な”王子”に打ちのめされそうな「あなた」へ

もしあなたが今、現実世界で目に見えない悪意や理不尽さに疲れ果てているのなら、ぜひこの新幹線に乗り込んでみてください。そこには、あなたの代わりに怒り、足掻き、そして最後には胸のすくような一撃を食らわしてくれる、頼もしくも人間臭い仲間たちが待っています。

読後、あなたの目の前の世界が少しだけ違って見えるかもしれません。そして、どんな「王子」にも屈しない、ささやかな勇気が心に灯っているはずです。さあ、終点・盛岡までのスリリングな旅へ、出発進行!

📣【追伸】文字だけでは味わえない、この物語の聴き方

記事の途中でも少し触れましたが、この『マリアビートル』という作品の魅力を最大限に引き出す方法として、オーディオブックによる「聴く読書」を強くおすすめします。なぜなら、この物語は「声」と「耳」で体験することで、その真価が何倍にも増幅されるからです。

魂を揺さぶる「声の演技」

レビューでは、ナレーター・原島梢さんの演技への絶賛の声が後を絶ちません。

「ナレーションが抜群に上手いです。開ける、の読み方なんてどうでもいいほど素晴らしいですね。」

「ナレーションの人がまた達者で、その憎たらしい感じに拍車をかけてきます。もう頼むから誰かコイツを片付けてくれと願っていたのですが全然勝てなくて、何度も絶望しました。」

特に、読者の怒りを一身に集める王子の狡猾で憎たらしい声色や、蜜柑と檸檬の漫才のような軽快な掛け合いは、まさにプロの仕事。文字で追うだけでは味わえない、キャラクターたちの息遣いや感情の機微が、あなたの耳から直接心に流れ込んできます。

日常を変える「没入体験」

あなたの日常の「スキマ時間」が、スリリングなエンターテイメント空間に変わります。あるリスナーはこう語っています。

「主にジョギング中に聴いていました。続きが聴きたくていつもより余計に走ることもありました。」

通勤電車の中、家事をしながら、あるいは寝る前のひととき。イヤホンをつけた瞬間、あなたは満員の通勤電車から、殺し屋だらけの東北新幹線へとワープするのです。この没入感は、一度味わうと病みつきになります。

まだ体験したことがないのなら、この機会にぜひ「聴く」という新しい扉を開いてみませんか?


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