『AX アックス』|なぜ殺し屋シリーズなのに「涙腺崩壊」の声が続出?

文学・評論
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AX アックス (角川文庫)
仕事でクタクタになって家に帰っても、なんだか気が休まらない。家族の機嫌を損ねないように、そっと息をひそめる…。そんな風に、誰かのために自分をすり減らしていると感じる夜はありませんか?

もしあなたが、そんな日々に少しでも共感するなら、伊坂幸太郎さんの小説『AX アックス』は、あなたの心の奥深くに眠る「守りたいもの」への愛情を、静かに、しかし力強く揺り起こしてくれるかもしれません。これは、ただの殺し屋の物語ではありません。不器用な男が、すべてを懸けて家族の「日常」を守ろうとした、切なくて温かい愛の記録なのです。

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📖この記事でわかる、あなたが『AX』にハマる3つの理由

「面白い小説が読みたい」と漠然と思っているあなたへ。この記事を読めば、『AX アックス』がなぜ単なるエンタメ小説にとどまらず、多くの読者の心を掴んで離さないのか、その理由がきっと見つかります。

  • ハラハラとクスッと笑える、絶妙な緩急の物語に没頭したい
  • 切ないけれど、心がじんわり温かくなるような感動を味わいたい
  • 巧みな伏線が見事に回収される、極上の爽快感を体験したい

🤔なぜ多くの読者が「ただの殺し屋の話じゃない」と涙するのか?

レビューには、「殺し屋シリーズで初泣きした」「家族愛に思わず涙を流した」といった声が溢れています。最強の殺し屋を描く物語が、なぜこれほどまでに読者の涙腺を刺激するのでしょうか。

その答えは、主人公「兜(かぶと)」が抱える、非情な裏稼業と、あまりにも人間くさい日常との壮絶なギャップにあります。彼は、人を殺めることに何の感情も抱かないプロフェッショナル。しかし、ひとたび家に帰れば、妻の機嫌に一喜一憂し、息子の成長を何よりも愛おしく思う、どこにでもいる(?)父親なのです。この物語は、そんな彼の心の葛藤を通して、「本当の強さとは何か」「守るべきものとは何か」を私たちに問いかけてきます。

🚪【ネタバレなし】最強の殺し屋、最大の敵は「妻」。その奇妙な日常へようこそ

物語の主人公は、文具メーカーに勤める営業マン・三宅。しかし、彼の裏の顔は、コードネーム「兜」として知られる超一流の殺し屋。冷静沈着にターゲットを始末する彼が、この世で何よりも恐れているもの――それは、妻の不機嫌です。

『時々、深夜のコンビニで、いかにも俺と同じような、仕事帰りの父親が、おにぎりやらバナナを買っていこうとするけどな、それを見るといつも、まだまだだな、と感じずにはいられないんだ。最後に行き着くのは、魚肉ソーソーセージだ。』

妻を起こさないよう、音を立てずに食べられる夜食を真剣に考察する兜。一人息子の克巳もあきれるほどの恐妻家ぶりですが、その裏には「この平穏な日常を絶対に失いたくない」という切実な願いが隠されています。しかし、殺し屋の世界は、彼が望む「普通の幸せ」をそう簡単には許してくれません。家族のために足を洗いたいと願う兜に、非情な運命が迫ります。

🗣️「まさかの展開に喪失感…」読了者の絶賛から紐解く物語の引力

本作のレビューで特に目立つのが、物語の中盤で訪れる衝撃的な展開への驚きと、ラストの感動への賞賛です。

「まさかの展開に喪失感を感じ、主人公たちに危ないよ!と教えてあげたくなる、物語の中にどっぷり浸れる作品でした。」

「兜、殺し屋なのに憎めない、むしろ愛しい。」

多くの読者が、主人公・兜に感情移入し、その人間味あふれる姿に愛着を抱いた矢先、物語は読者の心を大きく揺さぶる展開を迎えます。しかし、本当の物語の深みは、そこから見えてくるのです。なぜ彼はそんな運命を辿らねばならなかったのか?残された家族はどうなるのか?その謎が、読者を物語の奥深くへと引き込んでいきます。

🔑【ネタバレ注意】「恐妻家という名の愛」「父から子への絆」「10年越しの蟷螂の斧」。本作を傑作たらしめる3つの柱

ここからは、『AX アックス』がなぜこれほどまでに心を揺さぶるのか、物語の核心に少しだけ触れながら、その魅力を3つの柱で解き明かしていきます。まだ読みたくない方は、そっとこの先をスクロールしてください。

【深掘り解説①】最強の殺し屋は、なぜ妻に頭が上がらないのか?―ギャップに隠された不器用な愛情

兜の「恐妻家」ぶりは、単なるコメディリリーフではありません。それは、彼がどれだけ現在の「家族との幸せな日常」を大切にしているかの裏返しです。孤独な殺し屋として生きてきた彼にとって、妻と息子と過ごす何気ない時間は、守りたい宝物でした。

妻の言動を分析し、「妻への対応マニュアル」まで作成する彼の姿は滑稽に見えるかもしれません。しかし、それは感情をうまく表現できない不器用な男が、自分なりに愛を伝えようとする必死の努力の証なのです。読者はやがて、彼が妻に抱く感情が「恐怖」ではなく、深い「敬愛」と「感謝」であることに気づき、胸を打たれます。

【深掘り解説②】物語は後半、息子の視点へ。父の「不在」が炙り出す家族の真実

物語の中盤、衝撃的な事件をきっかけに主人公・兜は読者の前から姿を消します。しかし、彼の物語はそこで終わりません。視点は息子の克巳へと移り、物語は新たな局面を迎えます。父の身に何が起きたのか、何も知らないまま成長した克巳が、偶然見つけた父の遺品から、その謎に迫っていくのです。

父がどんな想いで自分たちを愛し、守ろうとしていたのか。克巳がその足跡を辿る過程は、ミステリーとしての面白さはもちろんのこと、父と子の見えない絆を描く、感動的な成長物語でもあります。父の裏の顔を知らないからこそ、克巳は純粋に「父親」としての彼を信じ、理解しようとします。その姿は、私たちの涙を誘わずにはいられません。

【深掘り解説③】鳥肌必至の伏線回収!父がのこした「蟷螂の斧」の意味とは

そして、物語のクライマックス。兜が物語から姿を消す前に仕掛けていた、ある壮大な「罠」が発動します。それは、息子との何気ない会話の中にあったキーワード「蟷螂の斧(とうろうのおの)」という言葉に象徴される、はかなくも、しかし執念に満ちた抵抗でした。

10年の時を経て、父ののこした想いを息子が意図せず繋ぐ。この見事な伏線回収と、悪に対する痛快な一撃は、まさに伊坂幸太郎作品の真骨頂。読者はここで、これまでの切ない展開がすべて報われるような、極上のカタルシスを味わうことになるのです。

🎧この胸を打つ父子の物語を、声のドラマとして体験する

もし、今あなたが想像した兜の不器用な優しさや、克巳の父を想う心の声が、耳元でリアルに響くとしたら?物語の感動は、きっと何倍にも膨れ上がるはずです。


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🧭この物語は、あなたの「守りたいもの」を照らし出す優しい光になる

『AX アックス』は、単なる娯楽小説ではありません。それは、私たちの日常に潜む「愛」や「絆」の尊さを、改めて気づかせてくれる物語です。

兜のように、私たちは誰もが矛盾を抱えながら生きています。仕事での顔、家庭での顔、友人との顔。それぞれの場所で、違う役割を演じているかもしれません。しかし、その根底にある「誰かを大切に想う気持ち」は、きっと誰もが持っているはずです。

この物語を読み終えたとき、あなたはきっと、自分の隣にいる大切な人の顔を思い浮かべるでしょう。そして、不器用でもいい、完璧じゃなくてもいい、自分なりのやり方でその人を守っていこうと、静かな決意を新たにするのではないでしょうか。

💌不器用でも、まっすぐに。愛する誰かのために今日を戦うあなたへ

もしあなたが日々の生活に疲れ、何のために頑張っているのか見失いそうになったなら、ぜひ『AX アックス』を手に取ってみてください。

そこには、最強の殺し屋でありながら、誰よりも臆病で、誰よりも優しい父親の姿があります。彼の生き様は、完璧なヒーローではないけれど、愛する者のために懸命に戦うすべての人の心に、温かいエールを送ってくれるはずです。

あなたの日常も、誰かにとってはかけがえのない宝物なのかもしれません。そのことに気づかせてくれるこの物語は、明日からまた一歩を踏み出すための、小さな勇気を与えてくれるでしょう。

📣【追伸】文字だけでは味わえない、『AX』の温もりとスリルを聴く方法

記事の途中でも少し触れましたが、この物語の感動を最大限に味わうなら、Audible(オーディブル)で「聴く」という選択肢も強くおすすめします。文字で想像する世界に「声」と「音」が加わると、物語はまったく新しい顔を見せてくれます。

魂を揺さぶる「声の演技」

ナレーター・織江珠生さんの声が、兜の魅力をさらに引き立てます。妻の前でオドオドするコミカルな声色と、殺し屋として非情な決断を下すときの冷たい声色。そのギャップを耳で感じることで、兜というキャラクターの人間的な深みと葛藤が、よりリアルに胸に迫ってきます。

日常を変える「没入体験」

レビューにはこんな声があります。

「グラスホッパーやマリアビートルを読んでいた時の感覚とは違い序盤はおや?と思いましたが、読み進めていくうち、殺し屋でありながら恐妻家であり、家族を愛する兜の少々情けなくも温かみのある心情に惹き込まれていきました。」

これは「聴く読書」ならではの体験です。最初はユーモラスな日常パートに油断していると、後半の怒涛の展開に耳が離せなくなる。通勤電車の中、家事をしながら、あるいは眠る前のひととき。いつもの「スキマ時間」が、心を鷲掴みにされるプライベートシアターに変わるのです。

文字を読むのが苦手な方や、忙しくて本を読む時間がないという方も、Audibleなら『AX アックス』の世界に深く没入できます。この感動的な家族の物語を、ぜひあなたの耳で体感してみてください。


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