AI時代、「仕事がなくなる」本当の理由。問われるのはAIの能力ではなく、あなたの「読解力」だった。

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【書評】AI vs. 教科書が読めない子どもたち|あなたの仕事は10年後、本当にありますか?

「AIに仕事を奪われるかもしれない…」

あなたも一度は、そんな漠然とした不安を感じたことはありませんか?特に40代を迎え、キャリアの折り返し地点に立ったとき、「このままでいいのだろうか」「自分の仕事の価値って何だろう」と、ふと仕事 やる気が出ない ずっと続くような感覚に襲われることもあるかもしれません。「もう仕事に行きたくない…」と朝、布団の中で涙が出ることだってあるでしょう。

私自身、まさにそんな悩みの渦中にいました。テクノロジーの進化にワクワクする一方で、自分の仕事がいつまで必要とされるのか、言いようのない不安が常に心の隅にあったのです。

そんなときに出会ったのが、新井紀子さんの著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』です。衝撃的なタイトルに惹かれて手に取ったこの一冊は、私の漠然とした不安の「正体」を、これでもかというほど明確に、そして論理的に解き明かしてくれました。

この本は、単なるAI解説書ではありません。これは、AIという鏡を通して、現代社会、そして私たち自身の「決定的な弱点」を浮き彫りにする、未来への警鐘であり、同時に希望の書でもあります。

この記事では、本書がなぜこれほど多くの人の心を揺さぶり、「必読書」とまで言われるのか、寄せられた多くのレビューを参考にしながら、その核心に迫っていきます。あなたの仕事、そして未来を考える上で、きっと大きなヒントが見つかるはずです。

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AIは”神”でも”魔法”でもない。私たちが勘違いしているAIのホントの姿

なぜSiriは「まずいラーメン屋」もオススメしちゃうのか?

まず、著者の新井さんが徹底して読者に伝えようとしているのは、「AIは意味を理解していない」という事実です。私たちはSiriやChatGPTと会話ができるので、まるで人間のように「知能」があるかのように錯覚しがちです。しかし、本書はそれを「幻想」だと一刀両断します。

コンピューター上のシステムであるAI は、徹頭徹尾「数字」だけでできている。

加えて、「好き」と「嫌い」、「暑い」と「寒い」、「美味しい」と「不味い」の違いが”わかる”こともなく、「太郎は花子が好き」を「花子は太郎に好かれている」や「Taro likes Hanako.」と言い換えられたところで本当のその意味が”わかる”こともない。

これは多くのレビューで指摘されている核心的なポイントです。AIは膨大なデータから「統計的に最も確からしい答え」を計算しているに過ぎません。だから、「近くの美味しいイタリアン」と検索しても、「近くのまずいイタリアン」と検索しても、同じような人気店が表示されてしまう。AIには「美味しい」と「まずい」の意味がわからず、単に多くの人が検索しているパターンを提示しているだけなのです。

これは、私たちが仕事で使う英語の翻訳も同じです。AIは仕事 英語 カタカナ仕事 英語 名詞といった単語のペアを大量に学習し、文脈から最も確率の高い訳語を当てはめているだけ。本当の意味で文章を「理解」して翻訳しているわけではないのです。このAIの本質を知ることは、AI時代を生き抜くための第一歩と言えるでしょう。

東大合格を目指した「東ロボくん」が桜を散らした”意外な理由”

このAIの限界を象徴するのが、著者自身がプロジェクトリーダーを務めた「東ロボくん」のエピソードです。「ロボットは東大に入れるか」という壮大な挑戦は、メディアでも大きく取り上げられました。

結果として、東ロボくんはMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)レベルの大学には合格できる偏差値を叩き出しました。これは驚異的な成果です。しかし、目標であった東大合格は「断念」せざるを得ませんでした。その最大の壁となったのが、なんと「国語」と「英語だったのです。

東大合格を目指して努力を重ねていた「東ロボ君」は、結局、東大入試を断念しました。その理由は、国語と英語がどうにも克服できなかったからだそうです。読解力(文章を読んで正確に理解する能力)の問題のようです。

計算や暗記は得意でも、文章の持つ微妙なニュアンスや文脈を読み解く「読解力」が、AIにとって最大の弱点だったのです。この事実は、AIに代替されない人間の能力とは何かを考える上で、非常に重要な示唆を与えてくれます。

でも、ChatGPTの登場で話は変わった?最新AIの進化と本書の「賞味期限」

ここで、鋭い読者の方ならこう思うかもしれません。「この本が出版されたのは2018年。ChatGPTが登場した今、話は別じゃない?」と。実際、レビューの中にもこんな指摘があります。

2025年2月に行われた東大入試にOpenAI o1が合格しました。現在ではこの本でAIが解けないとして記載されている問題は全て正解できます。2018年の出版から10年も立たずに予想は大きく外れてしまいました。

確かに、生成AIの進化は目覚ましく、本書で挙げられた問題の一部はクリアできるようになっています。しかし、だからといって本書の価値が失われたわけではありません。むしろ、AIの能力が向上すればするほど、「では、人間に残された価値は何か?」という本書の根源的な問いが、より一層重みを増してくるのです。AIが人間を「過小評価」させる罠から抜け出し、本質を見極めるためにも、今こそ読むべき一冊と言えるでしょう。

本当の恐怖はAIじゃない。気づかぬうちに蝕まれる「読解力」の危機

本書の真の衝撃は、ここから始まります。著者が「東ロボくん」の研究を通じて気づいたのは、AIの限界ではありませんでした。本当に恐ろしかったのは、AIが苦手とすることが、人間の子どもたちも同様に苦手になっているという事実でした。

「Alexは男?女?」中高生の正答率に愕然…あなたの読解力は大丈夫?

本書には、読解力を測るためのリーディングスキルテスト(RST)の問題がいくつか掲載されています。その中でも特に有名なのが、この問題です。

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性Alexanderの愛称でもある。
この文脈において、以下の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。
Alexandraの愛称は(   )である。
①Alex ②Alexander ③男性 ④女性

答えは当然①ですが、驚くべきはその正答率。全国の高校生ですら65%、中学生に至ってはわずか38%しか正解できなかったのです。答えはすぐ前の文章に書いてあるにも関わらず、です。

レビューには、この結果に対する驚きの声が溢れています。

子供達のテスト結果に驚きました…こんな簡単な問題を間違いのかと。すぐ隣の問題文に答えがあるのにそれを読み解けないんだなと愕然としました。

これは笑い話ではありません。教科書の文章を正しく読み解けない子どもたちが、半数近く存在するという厳しい現実です。そしてこれは、子どもたちだけの問題ではないかもしれません。あなたはこの問題を、一瞬で解くことができたでしょうか?

なぜ、勉強しても成績が伸びないのか?全ての土台は「国語力」にあった

この「読解力不足」こそが、あらゆる学力の土台を揺るがす元凶だと著者は指摘します。仕事や勉強において、「仕事 やる気が出ない ずっと」「成績が伸び悩んでいる」と感じる根本的な原因は、実はこの読解力にあるのかもしれません。

国道力が全て。読解力がないと、国語はもちろん他の教科も伸びません。なぜ成績が伸びないのか悩んだら読んで欲しいと思います。

数学の問題文が理解できない。理科の実験の手順が読み取れない。社会の資料が何を意味しているかわからない。これでは、いくら知識を詰め込んでも意味がありません。これは大人も同じです。仕事でマニュアルを読んでも頭に入らなかったり、会議で仕事仲間の話の要点が掴めなかったりするのは、能力不足というより、基礎的な読解力の問題かもしれないのです。

【最悪のシナリオ】人手不足なのに失業者だらけの未来

AIは万能ではない。しかし、計算や単純作業は得意。一方、人間は読解力が低下している。この二つの事実が交差したとき、私たちの社会は一体どうなるのでしょうか。著者が描くのは、決して楽観的ではない「最悪のシナリオ」です。

「単純作業」はAIへ。では「人間にしかできない仕事」に私たちは就けるのか?

よく「AIに奪われる仕事があっても、人間にしかできない新しい仕事が生まれるから大丈夫」という楽観論を耳にします。しかし、著者はこの考えに鋭く警鐘を鳴らします。

AIに代替されて職を失った人が、AIに代替されない仕事をできるのかという懸念です。

ここが本書の最も重要なポイントです。AIに代替されない仕事、例えば創造性やコミュニケーション、柔軟な判断力が求められる仕事は、高度な読解力が土台となります。しかし、その読解力自体を多くの人が失っているとしたら…?

AIが得意な分野では負け、AIが苦手な分野でも勝てない。そうなると、仕事を失った人々は、どこへ行けばいいのでしょうか。「仕事辞めたい」なんて言っていられない、もっと深刻な事態が待ち受けているのかもしれません。

企業は人手不足、巷には失業者…二極化が進む社会の恐るべき未来

著者が危惧するのは、「ホワイトカラーの仕事は不足し、同時に失業者が溢れる」という、一見矛盾した未来です。
企業は、AIを使いこなしたり、AIにはできない価値を創造したりできる高度な人材を求めます。しかし、そのような人材はごく一握り。結果、多くの企業が「人手不足」に喘ぐことになります。

その一方で、AIに仕事を代替され、かつ高度な仕事にも就けない人々が「失業者」として社会に溢れかえる。これが、二極化と格差拡大の正体です。
私たちが今感じている「仕事疲れた」といった疲弊感は、もしかしたらこの大きな構造変化の予兆なのかもしれません。

もう仕事に行きたくない…と嘆く前に。AI時代を生き抜くための解決策

ここまで読むと、絶望的な気持ちになるかもしれません。しかし、著者はただ不安を煽るだけではありません。この厳しい未来を回避するための「一筋の光明」も示してくれています。私たち個人が、今からできることは何なのでしょうか。

伸ばすべきは「従順性」より「柔軟性」。AIに負けない人間の強みとは?

かつての企業が求めたのは、言われたことを正確にこなす「従順性」でした。しかし、その領域はAIが最も得意とするところです。これからの時代に求められるのは、フレームに囚われず、自ら考えて価値を生み出せる「柔軟性」です。

重要なのは柔軟になることであり、AIが得意な暗記や計算に逃げずに、意味を考えること。生活の中で、不便に感じていることや困っていることを探す。

これは、あなたの仕事のやり方を見直す大きなヒントになります。ただ言われた作業をこなすのではなく、「なぜこの仕事が必要なのか?」「もっと良い方法はないか?」と意味を考える癖をつける。まさに仕事の5W1Hを徹底することです。AIは「What」や「How」は得意でも、「Why」を問うことはできません。そこに人間の価値があります。

「精読」と「深読」にヒントあり?失われた読解力を取り戻す第一歩

では、その柔軟性の土台となる「読解力」はどうすれば鍛えられるのでしょうか。著者は安易な解決策は提示しないとしつつも、レビューの中にはこんな希望を見出す声がありました。

新井先生は、「もしかすると、多読ではなくて、精読、深読に、何らかのヒントがあるのかも。」(p246) とおっしゃっています。

情報をただ流し読みするのではなく、一つの文章とじっくり向き合い、その構造や意味を深く理解しようと努めること。例えば、灘中学の伝説の国語教師は、3年間かけてたった1冊の小説『銀の匙』を読み込む授業をしていたそうです。
仕事の合間の休憩時間にスマホを眺めるのをやめて、一冊の大人向けの本をじっくり読んでみる。それだけでも、思考停止から抜け出す良いリフレッシュになるかもしれません。

あなたの「困った」が仕事になる!不便さの中に眠るビジネスチャンス

最後に、著者が示す最も力強いメッセージは、「不合理が存在する、ということは、ビジネスチャンスがあるということ」という言葉です。

AIは効率化はできても、新しい価値やサービスを生み出すことはできません。世の中の「困ったこと」や「不便なこと」を見つけ出し、それを解決するアイデアを考えること。これこそ、人間にしかできない創造的な仕事です。

例えば、「仕事道具をもっと使いやすくしたい」という思いから、DIYで便利なツールを作ってみる。それがきっかけで「DIYを仕事にする」道が開けるかもしれません。言葉選び一つをとっても、もっと的確で心に響く言葉はないかと考えることが、コピーライターとしての才能に繋がるかもしれません。
あなたの日常にある小さな「不便」や「違和感」こそが、AI時代を生き抜くための宝の山なのです。

まとめ:AIを恐れるな、思考停止を恐れよ。未来を切り拓くのは「あなた自身の読解力」

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』は、AIの進化がもたらす未来の光と影を、データに基づいて冷静に描き出した名著です。本書を読むと、私たちが本当に恐れるべきはAIそのものではなく、AIのように「意味を考えず」、思考停止してしまうことなのだと痛感させられます。

寄せられた多くのレビューが証明しているように、この本は読者一人ひとりに「自分はどうか?」「自分の子どもはどうか?」と鋭い問いを投げかけます。そして、その問いと向き合うこと自体が、読解力を鍛え、未来への危機感を共有し、次の一歩を踏み出すための最高のトレーニングになるのです。

  • AIの限界と本質を正しく理解したい方
  • 自分の仕事の将来に漠然とした不安を抱えている方(特に30代40代の方)
  • 子どもの教育方針に悩んでいる親御さん
  • 「最近、仕事のやる気が出ない…」と感じている方

もしあなたが一つでも当てはまるなら、この本はあなたの価値観を大きく揺さぶる一冊になることを保証します。
さあ、あなたも本書を手に取り、思考停止という名の快適な檻から抜け出す旅を始めてみませんか?未来を切り拓く鍵は、AIではなく、あなた自身の頭の中に眠っています。

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